庭で使う素材についてーその1

伝統工法である三和土を用いた園路

自然素材を使う

エノコロ庭園設計室では自然素材を中心に設計していきます。庭で使う自然素材とは、石・木・土などです。これらの素材は時と共に風合いを増して、奥行きのある景色をつくります。

自然素材の魅力は見た目だけではありません。石はいつまでも腐ることなく、庭が形を変えても再利用し続けられます。木は防腐処理や塗装を施しても、風雨にさらされているといつかは朽ちてしまいますが、温かみのある手触りは何物にも代えがたい魅力があります。いずれ交換しなくてはならなくなりますが、カーボンニュートラルな素材ですので環境負荷は少ないです。土は世界各地で様々な建材の材料として利用されてきました。三和土や版築、レンガなども土から作られています。これら土からつくられた素材は、長い年月を経て土へと還ります。このように自然素材を使った庭は、サステナブルな庭となるのです。

その土地の土で作られたレンガはその土地の色をしている

地産地消の素材を選ぶ

環境負荷について掘り下げていくと、石や土は採掘の際には重機等を使い、山を削っているので環境負荷0とは言えません。多少でも環境負荷の低減を図るため、なるべくその地域で算出される石を使うようにしています。石は重量があるため、運搬コストがかかります。そのため、遠くから運ばれてくる石の値段には運搬コストが多くかかっているのです。地場の石を使うことで、環境負荷の低減とともに、価格を抑えることもできるのです。

日本各地にはそれぞれの地域で銘石と言われるような石が産出されます。その石は地域の土と同じ雰囲気をまとっており、地域の風景をつくるのに最適な石と言えます。地域の石を使った庭が増えることで、画一的になってしまった日本の街並みが、地域固有の風景に変わるのではないかと考えます。

避けたい素材

庭での使用を避けたい素材は石油由来のプラスチック素材です。人工芝や樹脂フェンス等がよく使われているかと思います。これらの素材は腐ることはなく、お手入れも楽ですので広く普及していますが、施工当初が最もきれいで少しずつ劣化していく素材です。特に人工芝は季節による変化も無いため、周囲の景色との違和感もあります。エノコロ庭園設計室が目指す、時と共に成熟する庭とは反する素材ですので、おすすめはしていません。ですが、やはりメンテンナンス上の利点から樹脂を使用することもあります。その場合はなるべく美しく、なるべく自然に見えるよう、工夫して取り入れています。