在来植物のすすめ

ニュージーランドの景色

地域固有の植物を使う

エノコロ庭園設計室では基本的に日本在来の植物をおすすめしています。地域の気候に適した植物を選べば、神経質にならなくても植物は健やかに育ちます。自然な雰囲気の植物を選べば、多少雑草が生えていても違和感はありません。雑草を抜かなくては!ちゃんとお手入れしなくては!と気負わなくて良いような植物選びをすれば、植物のお手入れに多くの時間を割かなくても、美しい植物を楽しめます。

ニュージーランドの公園にて撮影

オセアニア~アジアを巡る中で

私は1年間ニュージーランドへ行っていました。南半球に位置するニュージーランドは日本とは季節が反対で、6~8月頃が冬で12~2月頃が夏になります。年間の最高気温や最低気温は日本に比べると、夏は涼しく冬はやや暖かいというように、マイルドなものでした。気温よりも私が驚いたのが、湿度の違いです。夏は高温多湿、冬は乾燥する日本とは違い、ニュージーランドの夏は乾燥して、冬は多湿なのです。そのためカビが生えやすいのは冬で、火事が起きやすいのは夏でした。強い日差しが枯草を燃やし、延焼が広がり消火できないというニュースも目にしました。

ここでまた驚いたのが、ニュージーランドの草原では草が枯れているのです。日本の夏は青々とした草が生い茂る、生命力にあふれた季節ですが、暑く乾燥したニュージーランドの夏では休眠する植物があるのです。

ニュージーランドから日本へ帰るころ、折角なので数か月かけて遠回りしながらアジア周辺をバックパックして帰ってきました。最初はインドネシア・バリ。濃厚な生命力と宗教が渦巻く、不思議な場所でした。熱帯特有の植物は大変刺激的で、特に日本では高級な植物の代表であるランが、雑草のように樹木に着生しているのには感動しました。そうしてシンガポール、マレーシア、タイ、台湾そして日本へ帰ったのです。

東アジア圏である台湾まで来ると、山や街が少しずつ見慣れた風景になっていきました。熱帯では大きく照りのある常緑樹がほとんどでしたが、台湾では植物の葉が小さくなり、落葉樹も増え、熱帯のインパクトのある光景から、もやもやーっとした水墨画の世界になってきたのです。

バリの植物

植物の価値とは

日本で価値があると言われ高い値がつく植物(例えばランとか珍しい観葉植物)というのは、現地では当然のように生育しているのが普通なのです。当たり前のことですが、どこの国も日本とは違う気候を持ち、特有の植物があります。そんな風景を目にして、なんだか肩の力が抜けたような、そんな気持ちになりました。わざわざ素敵で珍しい植物を庭に植えて、大変な思いをするよりも、もともと日本にある植物を育てたらよいのか、と気が付いたのです。日本は放っておけば、勝手に草が生え、森林になっていくような気候です。そこにわざわざ苦労して外来のものを植える必要はあるのかな?と考えたのです。

放っておいても生えてくる雑草の中には、なんだかとてもかわいらしいものもあります。雑草というと、邪魔なものという感じもしますので、ここでは「野草」と呼ぶこととします。放っておいても生えてくるような、そして見た目がかわいらしく繁茂しすぎない性質を持つ野草を庭に使うこともあります。今後、エノコロ庭園設計室でおすすめの野草を少しずつご紹介していく予定です。