庭づくり・暮らしづくり日記5~アイアン扉とCradle to Cradle~
めっちゃかっこいいアイアン扉を設置しました。インターフォンとポストが一体となったアイアンの門柱とセットで作ったものです。我が家のアプローチ幅にぴったりのオーダーメイドです。インターフォンは内側に設置し、表面がフラットになるようにデザインしました。裏側には点検のための蓋もあるので、故障の際も対応可能です。
門扉をつけるかつけないか・設計の工夫
最近は門扉を設置しないお宅の方が多いかと思いますが、我が家は門扉を設けました。門扉をつけると、玄関扉を開けたあとにもう一度扉を開けなくてはいけません。荷物を持って帰ってきた時も、玄関を開ける前にもう一つ扉がある・・・。はっきり言って面倒くさいと思います。ですが、玄関前のスペースをよりプライベートな空間にしたくて門扉を設置しました。
玄関前をプライベートな空間にするには、門扉を設置する以外にも設計の工夫が可能です。例えばアプローチをクランクさせたり、植栽や門柱でうまく目隠しにしたり、段差を設けたり。門扉が無くても結界を感じさせる設計にすると良いでしょう。門扉の有無や、どの程度オープンな外構が良いか?というのは個人の感覚によるもので、何が正解というのは無いと思います。
再利用できるアイアン
アイアン扉というのは、その名の通り鉄で出来ているわけです。(正確にはスチール。鉄そのままだと強度に欠けるため、鉄に炭素等を含ませて強度や加工性を高めた合金がスチール)鉄というのは再利用が可能な素材です。メッキ加工をしている場合は、その種類にもよりますが、メッキや塗装を剥離して再利用が出来ます。鉄は錆が出ることがありますが、これは表面の話で、鉄自体が腐るというようなことはありませんし、錆が出た鉄も再利用可能です。
できるだけ再利用が出来る素材やカーボンニュートラルな素材を使用していきたいと考えているのですが、鉄はまさに再利用をし続けられる素材です。もちろん廃棄することなく長く使う、ということが前提にはなります。
Cradle to Cradle「ゆりかごからゆりかごまで」
先日いただいたお仕事で、Cradle to Cradle認証について知る機会がありました。Cradle to Cradleとは、日本語にすると「ゆりかごからゆりかごまで」という意味で、循環型社会の在り方として提唱された言葉です。その言葉を冠したCradle to Cradle認証は、EPEA(環境保護促進機関)が母体となり運営されており、大変厳しい基準が設けられたものです。認証を受ける受けないに関わらず、このCradle to Cradleという考えは常に頭の中に入れておかなければいけない概念だなと感じました。今までの大量生産・大量消費・大量廃棄が持続的ではないことは明白です。
素材選びと価値観
そういった視点からも、アイアンという素材はCradle to Cradleの考えに則した素材であると言えます。素材選びは意匠に直結するものですが、どういう信念で暮らしを作っていくか、ということにも結び付くものです。デザインの自由度や質感、そして再利用可能という点で、私はアイアンという素材が好きです。できるだけ長く、大切に使うということを前提に、いつか役目を終えた時に処分に困るような庭は造りたくないと思っています。鍛冶職人に作ってもらうアイアン製品は、決して安い物ではありませんが、こんな素材を使って庭造りをしていきたい。エノコロ庭園設計室の庭造りへの想いの一つです。